部屋の窓ガラス、黒くて細い網状の線が入っている事があります。

この網は、火災時のガラスの吹き飛びを防ぐもので、防犯用ではありません。

建築基準法上の「防火設備」、網入りガラスとも呼ばれます。

少し景色に掛かってしまいますが、建物の安全性能上、とても大切な機能があります。

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「防火設備」

ガラスに入っている網ですが、建築基準法第2条第9項の2ロで規定される「防火設備」の要件の一つで、根拠条文は以下の通り。

根拠条文

建築基準法第2条九の二  抜粋

防火地域又は準防火地域内にある建築物は、その外壁の開口部で延焼のおそれのある部分に、防火戸その他の政令で定める防火設備(その構造が準遮炎性能(建築物の周囲において発生する通常の火災時における火炎を有効に遮るために防火設備に必要とされる性能をいう。)に関して政令で定める技術的基準に適合するもので、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたものに限る。)を設けなければならない。

具体的な機能については、続いて第64条に規定されます。

(外壁の開口部の防火戸)
第64条  

ロ その外壁の開口部で延焼のおそれのある部分に、防火戸その他の政令で定める防火設備(その構造が遮炎性能(通常の火災時における火炎を有効に遮るために防火設備に必要とされる性能をいう。)に関して政令で定める技術的基準に適合するもので、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたものに限る。)を有すること。

ちなみに業務上はもっと簡単に、「防火サッシ」と呼ぶ事が多いです。

とにかくまとめると

室内外で火災が起こった場合、炎の熱によって熱膨張したガラスが吹き飛びます。
このガラス破片がサッシ付近に飛び散り、大きな危険が発生してしまう。
火災時の火炎によって、ガラスが吹き飛ぶのを防ぐのが、網の役割です。

どこに着けなければならないのか

法律で定められている、
①防火地域か準防火地域に建てる場合
または
②建物自体が耐火建築物か準耐火建築物
において、

道路の「中心」から
・3m以内(1階)
・5m以内(2階以上の階)
(「延焼の恐れのある範囲」とよびます)
にあるサッシのガラスは「網入りガラス」が必要。

逆に、上記①か②であっても、
道路の幅が広い場合(10m以上の場合)、設置しなくても良い。

網は防犯のためではない

ちなみに破壊時にガラスが飛び散らずに割れる為、防犯性能はむしろ低くなる可能が高いです。

線がライン状に入っているものは現法では防火設備ではない

網のグリッド形状は斜め45°の菱型でも良い。
しかし、グリッドでなくライン形状の網は防火設備ではない。

網が入っているガラスと入っていないガラスをバーナーで加熱比較した動画

youtube

ガラスに入っている網は火炎によるガラス飛散防止の為でした。
防火サッシはガラスに網が入っている、いないだけではなく、サッシ自体の構造も異なり、普通サッシに較べて価格も倍以上。
建物の安全性を担保してくれる重要な設備です。